「名画で学ぶ経済の世界史」国境を超えた勇気と再生の物語(田中靖浩)
「名画で学ぶ経済の世界史」を読みました。著者は公認会計士の田中靖浩氏。
中世ヨーロッパの絵画を題材にして、それが描かれた時代背景、特に経済などの変遷をわかりやすく書かれています。
イアリアから始まって、オランダ、フランス、イギリスそして新大陸のアメリカへと続く流れと、その時代に活躍した、ダ・ヴィンチ、レンブラント、モネ、ルノワールなどの作家と名画が登場します。
紙面にはその名画がカラーでたくさん登場して楽しみながら読み進めることができました。
著者が最後の方にこんなことを言っています。
「会計の仕事って、決算とか予算とか、「その時々をこなす」仕事になりがちなんです。「広い視野で」でものごとを考える機会が本当に少ない。・・・そんなとき、たまたま絵画との出会いがあって、ビックリしたんです。時間軸と視野の広さがぜんぜん違うんですよ、絵の世界って。」
会計と絵は単純には比べられないかもしれませんが、私も同じような仕事をしているので、この本を読んで益々そうだなあと思わされました。
田中氏の著作は、優しくわかりやすい文章で楽しくすらすら読むことができます。
他に氏の著作で「会計の世界史」もありますが、こちらも、おもしろくて、わかりやすくてお勧めです。
14世紀中頃イタリアをはじめヨーロッパが黒死病(ペスト)に襲われた後、ギリシア・ローマ文化の再生としてルネサンス芸術が花開きました。同時にルネサンスは経済危機からの再生でもあったそうです。
この本は、2020年7月に発行されていて、コロナ禍真っ最中での発刊であったことを考えると、著者のコロナからの再生(ルネサンス)の願いも込められているのではないかと思います。
私も絵画を見るのが好きで、よく美術館に通いますが、ここ1年はコロナが不安で見に行くことができていません。この本を読んでますます展覧会に行きたくなってしまいました。一日も早いコロナの終息を願うばかりです。
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「名画で学ぶ経済の世界史 国境を越えた勇気と再生の物語」田中靖浩(著)(マガジンハウス)
「会計の世界史 イタリア、イギリス、アメリカー500年の物語」田中靖浩(著)(日本経済新聞出版)