「消費税インボイス制度って何?」③令和5年度改正編

インボイス制度について、様々な声が挙がっていましたが、それに応えたのか?影響されたのか?令和5年の税制改正で少しほっとする改正がありました。

1.改正1 免税業者が登録した時の税金計算の特例

免税事業者が、インボイスの登録事業者になると消費税の申告納税が必要となります。

そんな事業者の方には、当初3年間は消費税の計算の特例が作られました。

どのような特例かというと

申告して納税する消費税は、売上で受け取った消費税の20%でよいという特例です。

通常は、原則課税では、受け取った消費税から支払った消費税を差し引いた残りを申告して納税します。

また、簡易課税では、受け取った消費税から、売上消費税の一定割合(業種ごと決められていまる)を控除して、申告納税します。

特例は、この簡易課税の一定割合を80%とした計算の方法と同じです。簡易課税の業種で言うと小売業が80%です。卸売業はもっと控除ができて90%です。

したがって、小売業は特例でも簡易課税でも同じ、卸売業は簡易課税が得、それ以外の業種は特例を使うと納税額が少なくて済むということになります。

もちろん、仕入や経費の割合が多くて原則課税の方が得になるという場合もありますので、特例を使うかどうかの試算をしてみる必要があります。

そして、この特例を使う時、簡易課税と違って事前の届け出は必要ありません。

 

2.改正2 1万円未満の取引はインボイス不要

仕入税額控除をするときにインボイスが必要というのは、インボイス制度の大原則ですが、1万円未満の少額な取引はインボイスがなくても良いよという改正です。

ただし、この適用を受けられるのは、基準期間(原則2年前)の課税売上高が1億円以下の事業者です。(他に前期前半の6か月の課税売上高が5千万円未満も対象になります。)

これも期間限定で、当初の6年間(令和11年9月30日まで)に限ります。

 

3.改正3 1万円未満の値引き、返品はインボイス不要

これは、改正3とちがって、すべての事業者が対象で期間限定もありません。

値引きや返品をしたときも、返還インボイスというインボイスの発行が必要でしたが、少額なものまで厳密に適用すると手間がかかりすぎて混乱するということからだと思いますが、1万円未満の値引きなどは、わざわざインボイスを発行しなくて良いよという改正が行われました。

たとえば、銀行の振込手数料を差し引いて支払うときは、値引きにあたるので相手から返還インボイスをもらう必要がありましたが、これで必要なくなります。

 

4.改正4 登録申請の見直し

登録申請などで次の見直しがされました。

①制度がスタートする令和5年10月1日から登録事業者になりたいときは、令和5年9月30日までに登録申請書を提出すれば登録を受けることができるようになりました。

②制度がスタートしてから令和5年10月2日以降に登録を受ける場合15日前までに登録申請書を提出すれば、希望日から登録を受けることができるようになりました。

登録や登録取りやめの届出書の提出期限が、翌課税期間(個人は翌年、法人は翌期)の初日の15日前までと見直されました。

 

(注)わかりやすさを重視していますので、税法的に厳密には不正確な表現、不足する事項などあります。詳しい情報は国税庁のホームページ等でご確認ください。